もくじのページ
http://www.m2-dream.net/?page_id=1458

 
 
 

お話し小箱。「好きに動かしてみよー」20 

 
 
 
 

「場所、変えよう。
 コイツがでかすぎて邪魔っぽい」
イワイシはケムリを見て言った。



「うるせーな」
ケムリはむっとした表情で言い返した。
 
 

「どっかアテある?」
イワイシは透に尋ねた。
 
 

「えーと・・・この先のショッピングセンターの
 駐車場に行くエスカレータの脇のベンチは?」
透は友達と長々と喋った場所を思い出した。



「じゃ、そこへ行こう。
 案内してよ」
 
 

 
透が歩き出すと、イワイシとケムリが後に続いた。
 

 
 
 

 
* * * * *
 


 
「そろそろ電話がかかってきそうだな」
駐車場に続く幅の狭いエスカレーターの脇のベンチに
腰をおろすと、イワイシはポケットから携帯を出した。 
 
 
 
「暁子サン? それとも先生から?」
 
 
 
「どっちだろ? いずれにしてもどっちかだなぁ。
 暁子サンが先の方がいいな。
 彼女が今回の件をどう思っているのか知りたい」
 
 
  
タイミングを計ったかのように携帯が鳴った。
イワイシは、画面に表示された文字を見て
「暁子サンだ」
と呟いた。
 
 
  
「はい・・・今、大丈夫ですよ。
 ・・・部屋を作る?・・・
 石の博物館とは別に?
 ・・・本物の石があるんですか?」
イワイシは初めて聞いたという口調で対応していた。
 
 
 
「ちょっと大変な作業なので、
 申し訳ないのですが、即答はできません。
 場所の情報が必要です。
 石のオーナーについても知りたいですし。

 ・・・ええ・・・そういうことです。
 もっとも、こういう情報を入手する過程で、
 先生に押し切られてしまいそうですが。
 ・・・はい・・・そうですね、確かに。
 ・・・わかりました・・・
 そちらで対応していただけるとありがたいです。

 ・・・はい・・・はい・・・
 ・・・もし何かあれば、ご連絡ください。
 よろしくお願いいたします」
イワイシは電話を切った。
 
 
「ふぅ・・・今回は、暁子サンは味方っぽいな」
 
 
 
「味方っぽいっていうより、
 先生がヤバイ状態だってわかってるから、
 阻止しようとしてるんだろ?」
ケムリが言うと、イワイシは笑った。
 
 
 
「まあ、そういうことになるな。
 暁子サン、間に入ってくれるらしい。
 ・・・先生は気に入らないだろうけど、
 彼女を敵に回したくないから、一応、従うだろうな」
 
 
 
「直接電話はかかってこないってこと?」
 
 
 
「うん。そのはずだけど、
 ハシバにコンタクトするかもしれないな」
 
 
 
「そうなったら、どうすればいい?」
透は急に不安になった。
・・・帰りに駅で待ち伏せされたら、避けられないぞ。
   
 
 
 
 
 
_____________________
 
 
 
 
  
「とりあえず、話だけは聞いといたら?
 取り次いでくれってことになったら、
 頼んだけど、ダメだったって言えばいいんだし」
 
  
 
「うーん・・・先生って何かに憑依されてんだろ?
 超強気の発言とか出るんじゃないのか?」
 
 
 
「ハシバは心配症だな。
 ま、相手が先生じゃ、わからなくもないけど。
 自力でプロテクトできてるから大丈夫」
 
 
 
「プロテクト? 
 自分じゃ、何かをやってる自覚はないんだけど」
 
 
 
「ハシバくんが無意識にやってるのか、
 それとも守ってくれる存在がいるのかわからないけど、
 どっかからエネルギーが送られてきて、
 自然にというか、自動的に安全な状態になるから平気だよ」
ケムリは穏やかな声で説明したが、
<かなりの力を持っているのに、何故怖がる?>
と言いたがっているようだと透には感じられた。 
 
 
  
(何となく感じることを重視しろって言われたけど、
 信じられないことも多いよな・・・)
 
 
 
「・・・でも、自覚が全然ないからさ、
 プロテクトできているのかどうか、自信ないよ。
 本当に毎回そうなっているのかもわからないし。
 それに、先生はモノシリだから、
 うまく言いくるめられちゃうかもしれない」
 
 
 
「心配だったら、魔除けグッズを貸してやるよ。
 ホントはそんなのいらないんだけど、
 精神的にはラクになれると思うから」
イワイシはポケットに手を突っ込むと、ごそごそやって
何かを取り出した。 
 
 
 
「カバンとか財布の中でもいいから、
 いつも持ってるようにしてくれ」
透に向かって 差し出された手のひらの上には、銀色のコイン。
 
 
 
「これが魔除けグッズ?」
透は、イワイシの手のひらからコインをつまみ上げ、
自分の手にのせた。
コインは見た目より重く、熱を帯びていた。
 
 
 
「これ、結構重いし、なんだか熱いなぁ」
透の目の前でコインは金色に変化した。
「・・・色が変わっちゃった」
 
 
 
「変わるかなと思ったけど、やっぱり変わったな。
 それ、やるよ。
 ハシバが持っている方がよさそうだ」
 
 
 
「なんで? 
 必要だから持ってたんだろ?
 なかったら困るんじゃないのか?」
 
 
 
「同じよ―なのをいくつか持ってるから。
 こんなに簡単に色が変わるってことは、
 ハシバが持ってるべきって意味なんだ」
 
 
 
「・・・なんだかよくわからないけど、
 先生に会うのは正直怖いから、
 これ、もらっておくよ。
 ありがとう」
 
 
 
透はコインをポケットに入れようとしたが、
いつも持ち歩くものに入れておいた方がよさそうだと考えて、
カバンから財布を出すと、その中にコインを入れた。 
 
 
「いつものお守りがあれば、
 基本的には問題ないんだけどね。
 もっとも、コインはコインで、
 別のゴリヤクがあるんだけど・・・
 
 あんたにも渡しておくよ。
 先生は川瀬クンに興味がありそうだから」
イワイシはポケットからコインを取り出し、
ケムリに渡した。
 
 
 
ケムリが手のひらにのせた銀色のコインは、
あっという間に青味を帯びていった。
 
 
 
「ふーん・・色の変化がずいぶんと速いな。
 それ、プレゼントするよ・・いらないかもしれないけど」
 
 
 
「いや、ありがたくもらっておく」
低い声でぼそっと言うと、
ケムリはコインをポケットに滑らせた。
 
 
 
「コインが何色に変わるかは、人によって違うのかな?」
透は疑問を口にした。




 
 
_____________________
 
 
 
「人によって違うっていうより、
 その時のコンディションによって違うって言う方が
 正確だと思う。
 次にハシバが触った時には、青く変わるかもしれない。
 今は金色になってるけど、
 時間がたてば、違う色に変わっていくと思う」
 
 
 
短い電子音が聞こえた。
「メールだ。暁子サンかな?」
イワイシはポケットから携帯を出して
画面を見つめた。
 
 
 
「・・・ふーん・・・」
 
 
 
「なんだって?」
イワイシが眉をひそめたまま黙っているので、
ケムリが訊ねた。
 
 
 
「透クン経由で頼まれても、絶対に受けないでくれって。
 もっとも、受ける気なんかないけどさ。
 
 石のオーナーっていうのは、
 かなりクセがあるらしい。
 暁子サン、このヒトと会ったのかなぁ?」
 
 
 
「会ってないかもしれないけど、
 第三者に知らせるくらいだから、
 クセがあるっていうのは、
 的外れじゃないと思うよ」
透は、暁子サンの崇拝者がかなりいるという話を聞いていたので、
彼女にいい加減な情報を流す人はいないような気がした。 
暁子サン自身も、不確実なことを他人に言うタイプでは
ないだろうし。
 
 
 
「先生と個別に接触しないでくれって書いてあるけどさ、
 待ち伏せされたら、ハシバは避けようがないよなぁ。
 
 暁子サンは先生にも釘を刺してるみたいだけど、
 先生の好奇心の方が強そうだな。 
 しかも、今はヘンなものがくっついてるし」
 
 
 
「先生が暴走するっていうのも面白そうだけどな。
 まあ、仮に暴走したところで、
 暁子サンのてのひらの上だろうけど」
ケムリが笑った。
 
 
 
「そのはずなんだけど・・・
 暁子サンは、ヘンなものを心配してるみたいだ。
 そうとはハッキリ書いてないけど。
 メールの文章だけ読むと、
 俺たちと共同戦線を張りたがってるような感じだな」
 
 
 
「 暁子サンが心配してるって?
 それ、なんかイヤだなぁ」
 
 
 
「・・・ハシバがそういう言い方するほうが
 よっぽどイヤだよ」
イワイシは溜息をついた。
「ついでに言うとさ、
 ハシバは明日、先生に会いそうだって
 思ったんだろ?」
  
 
 
透は無言で頷いた。
 
 
 
 
 
_____________________ 
 
 
 
 

「会いそうだって思った時、何か感じた?」
 
 
 
「え?・・いや、特には。
 先生が改札の外に立っている場面が見えただけ」
 
 
 
「それなら大丈夫。
 特に嫌な感じとか気分の悪さがないんだったら、
 会ったところで問題ない」
 
 
 
「・・・そういうものなのかねぇ?」
 
 
 
「今だって、ハッキリ感じられるような恐怖感とか
 息苦しさってないだろ?」
 
 
 
「ああ、そういうのは確かにないな」
  
 
 
「この間みたいに、あのお守りを握って知らせてくれれば
 多少はサポートできるよ。
 もし、その時近くにいれば、同席するし」
 
 
 
「先生の場合は、喫茶店じゃなくて、
 ファーストフードで、飲み物は紙コップだよ。
 イワイシさんが来る場所じゃないと思うんだけど」
 
 
 
「うーん・・・そういうとこ、気にするんだ・・・
 ま、いいけどさ。
 先生も後ろめたいところがあるはずだから、
 ハシバ一人だったとしても、
 基本的には、強引な話の進め方はしないはず」
 
 
 
「でも、暁子サンが心配するようなヘンなものが
 憑いてるんだろ?」
ケムリが口を挟んだ。
 
 
 
「そうだけど・・・
 たぶん、大丈夫って気がする。
 ハシバには、先生と大きく対立する要素がないからな」
 
 
 
「対立する要素がないと大丈夫なのか?」
 
 
 
「ヘンなものって、自分と敵対する存在に対して
 力を発揮するような気がするんだ。
 自分に対して向けられるネガティブなエネルギーに
 対抗しようとして、ある種の力を帯びるんじゃないのかな。
 極端に怖がったり、なんとか逃げなきゃとか強く思わなければ
 大丈夫なんじゃないのかなぁ」



「うーん・・・平常心を保てるか自信ないよ。
 先生って、普通にしてるときは、
 ものすごく子どもっぽいところがあって、
 ちょっと変わった人って感じなんだけど、
 時々、ものすごく怖い時がある。
 眼がね、すごく怖いんだ」
透の脳裏に先生の冷徹な表情が浮かび、
背筋がぞくっとした。
   
 
 
「あんまり心配するなよ。
 そういう不安みたいなものも、
 ヘンなものに力を与えかねないんだから」
イワイシは透の表情の変化を気にしているようだった、
 
 
 
「そうは言ってもなぁ・・・」
透が自信なそうに言うと、イワイシはまた溜息をついた。
  
 
 
 
 
_____________________
 
 
 
 
 
 
「じゃあ、ハシバの心配を少し減らそう。
 ・・・両手を合わせてみてよ」
 
 
「は?」
透は怪訝に思ったが、言われたとおり、
胸の前で両手を合わせた。
 
 
 
「間隔を少し開けて・・・10センチくらい」
 
 
 
イワイシに言われるまま、透は左右のてのひらの間に
10センチくらいの空間を作った。
 
 
 
「そしたら、いつもみたいに、太陽とか炎とか
 熱が感じられるものをイメージしてよ。
 ・・・できれば目をつぶらないでやって」
 
 
 
「目をあいたままって難しいんだよな・・・」
そう言いながらも、何度かやっていることなので、
<あの感じ>を再現することができた。
  
 
 
その瞬間、透の両手の間で青白い火花が飛んだ。
 
 
 
「うわっ!」
透は驚いて手を振りまわした。
  
 
 
「本人を傷つけることはないから大丈夫。
 それを相手にぶつければ、確実に逃げられるよ」
 
 
 
「相手って・・・先生?」
 
 
 
「とは限らない。
 もっとも、使う場面はないと思うけどな。
 自分にも有効な武器があって、
 自力で身を守れるってこと、覚えておいてくれ」
 
 
 
「うーん・・・
 これって、どのくらいのパワーがあるんだ?
 大怪我させたりはしないだろうな?」
 
 
 
「ハシバが自分で出力をコントロールするんだよ。
 やろうと思えば、5階建てのビルくらいなら吹っ飛ばせる」
イワイシは平然と言った。 
 
 
 
「マジかよ・・・」 
 
 
 
「青ざめなくても大丈夫だよ。
 やろうと思わなきゃいいんだし。
 
 今くらいの出力だったら、
 誰かにぶつけたところで、素手でひっぱたかれた程度だ。
 それ以上となると、相当本気にならないとできない。
 
 ビルを吹っ飛ばすなんて言ったら、
 ハシバの場合は、相当追い詰められて、
 命の危険を肌で感じない限りは絶対にできない」
 
 
 
「そうは言ってもなあ・・・」
 
 
 
「ハシバくんの性格からいって、
 そう簡単にはモノや人にダメージを与えるようなことには
 ならないから大丈夫」 
ケムリの言葉を聞いても、透は安心できなかった。
 
 
 
「イワイシが脅かすから、余計不安になってるじゃないか」
 
 
 
「脅かしてねーよ。本当のことを言ったまでだ」
イワイシはカバンからミネラルウォーターの
ペットボトルを取り出すと、残っていた中身を飲み干した。
 
 
 
 
_____________________ 
 
 
 
 
 
 
「そんなに心配するな。
 ハシバは、暴力で問題が解決できるなんて、
 全然思ってないだろ?」
イワイシの質問に透は頷いた。 
 
 
 
「じゃあ、さっきと同じことやってみてよ」
透は、先ほどと同じように、
10センチくらいの間隔をとって
左右の手のひらを向かい合わせた。
そして、<あの感じ>を呼び出そうとしたが、
青白い火花のイメージが脳裏にちらついてできなかった。 
 
 
 
「じゃあ、この石を両手で包んで、もう一回やってみて」
イワイシは錆びた鉄のような色の石を差し出した。 
 
 
 
透はそれを両手で包むようにして持つと、目を閉じて、
もう一度<あの感じ>を呼び出そうとした。
手のひらがふっと熱くなった感じがした。
 
 
 
「ほら、ちゃんとコントロールできてるじゃないか。
 無意識かもしれないけど、
 必要な時に必要な分しか使わないように
 自分で調整してるんだ」
 
 
 
透の手の中で、石の色は淡い金色に変わっていた。
「・・これは?
 石の博物館の石みたいだけど、
 なんだか違う気がする」
 
 
 
「やっぱりハシバはわかるんだな。
 そうだよ。違うんだ。
 ベツモノって言えなくもない。 
 
 何の根拠もないし、ただの思いつきレベルだけど、
 先生が持ってきた話は、この石のことかもしれない」
 
 
 
「ベツモノであっても、
 偽物ってわけじゃないんだろ?
 ・・・ちょっと見せてくれ」
透から金色の石を受け取ると、ケムリは石を天井に向けて、
蛍光灯の光にかざした。
 
 
 
「それじゃわかんないと思うよ。
 目をつぶって握るほうがわかりやすい」
イワイシが言うと、ケムリは素直に従った。
 
 
 
「・・・ああ、そうだな・・違うな。
 違うけど・・・どう違うのかって説明しにくいな。
 先生はわからないのか?」
 
 
 
「どうだろう?・・・わかりそうなもんなんだけど 。
 これは、<作られたもの>なんだ。
 
 山に行った時、次世代を作る石っていうのを見ただろ?
 本来はああやって・・産むっていうのかな、
 まあそういうプロセスを経てできるんだけど、
 これは、そうじゃなくて、コピーみたいなことをして
 ごく短時間で作られたものなんだ。
 
 石の価値に気付いて、金儲けの手段になると気付いた誰かが、
 手っ取り早く増やす方法として始めたんだろう。
 どうやって作るのか、今は分からないけど、
 とにかく、ものすごく短い時間・・・せいぜい1週間か
 10日くらいでこの状態になるんだと思う」
 
 
 
「なんでそれをお前が持ってるんだ?」
 
 
 
「だいぶ前だけど、ある場所で見つけたんだ。
 使えそうだと取っておいたんだけど、
 これはベツモノだって気がついた。
 今日、出かける時に、ふっと思い出して、
 持っていかなきゃって気になって、カバンに入れてきた。
 先生とつながってるって無意識に感じたのかもしれないな」
 
 
 
「石のコピー? コピーの石?
 どっちがいいのかよくわからないけど、
 数としては、たくさんあるのか?」
 
 
 
「コイツから感じられるものから判断すると、
 それほど数は多くなさそうだ。
 
 先生がコンタクトしてる石のオーナーが
 ほとんど持っているような気がする・・・根拠はないけど。
 
 たぶんね、コピーをいくつか作ったものの、
 どこかの時点でバレたんじゃないかな。
 
 俺達みたいに、気づく人間が出てきたんじゃないかと思う。
 ・・・なんとなくなんだけど、
 それって、死んだおじいさん本人か、
 彼と関係があった人物って気がする。

 今、話したみたいに、他にもいろいろとね、
 こうなんじゃないかなって感じることがあって、
 実際、そうなんだろうって確信みたいなものもあるんだけど、
 でも、言い切っちゃいけない感じもするんだ。
 ・・・自分の目で確かめろってことなのかもしれない」
 
 

 
 
_____________________
 
 
 
 
 
「コピーの石と、ばあちゃんのところにある石って、
 実際に持ったときの違和感の他に違いはあるのか?」
手に持ったときの印象の差を透は感じていた。
コピーの石は、軽いというか、頼りないというか、
しっかりした手応えが伝わってこなかった。
 
 
 
「暁子サンや先生は、クライアントの要望に応じて
 石を用意してるだろ?
 こうなってほしいって望みがあって、
 それに合う石を渡してるわけだけど、
 コピーの場合、その効果は、ホンモノに比べたら、かなり低い。
 低いって言っても、ゼロじゃないけどね。
 
 ホンモノの石を手に入れたって、
 完全に石頼みで、全く努力しなかったら、変化は起こらない。
 逆に、コピーの石だったとしても、それを手に入れて、
 あとは自分が頑張れば大丈夫なんだって本気で思って
 努力すれば効果はあるから。
 
 もうひとつは、石の存続時間。
 存続って表現が合うかどうかわからないけど。
 
 ホンモノは、よほどのことがない限りは、
 半永久的に存在するし、
 強いダメージを受けない限りは、元の状態に戻せる。
 
 コピーの場合は、短時間でできている分、
 不安定なところがあると思う。
 強いダメージを受けたら、砕けるかもしれない。
 ホンモノに比べたら、かなり変色しやすいし、
 変色した場合、元に戻せなくなる確率は高いと思うよ。
 手に持った時の印象って、反応が薄いっていうか、
 拍子抜けするっていうか、そういう感じだろ?」
  
 
  
「確かにそうだ。手応えがない。
 先生なら絶対に気付くと思うんだが」
ケムリの言う通りだと透も思った。
 
 
 
「そうですよね、先生ならわかるはず。
 ホンモノだと思ったって話してたけど・・
 触らなかったのかなぁ。
 これだけ違うんだから、気づくかないなんておかしい」
 
 
 
「ハシバもケムリもハッキリと差を感じているけど、 
 もちろん、俺も違いを強く感じてるんだけど、
 実際には、持った時の二つの石の違いって、
 結構、微妙なんだ。
 わかる人にはわかるってレベルかもしれない。
 
 もっとも、先生は仕事で石を扱ってるから、
 確実 に違和感は持ってると思う。
 
 ただ、コピーの話を一切知らないとしたら、
 <ちょっと違うタイプの石>くらいの認識かもしれない」
 
 
 
「部屋を作る作業を見たいとか、
 ばあちゃんと関係ないところで石と関わりたいとか、
 そういう気持ちが強すぎて、
 ホンモノとは違うってわかっていても、
 敢えて突き進んでる部分があるのかもしれないなあ」
透はふっと思いついたことを口にした。
 
 
 
「そんなところだろうな。
 先生らしいなぁ・・・」
イワイシが笑った。
 
 
 
「で、どうするんだ?
 あんたへの直接のアクセスはないにしても、
 ハシバくん経由で話が来るぞ」
 
 
 
「そうだなぁ・・・どうするかな。
 とにかく関わりたくないっていうのが本音なんだ」
イワイシは天井を見上げてつぶやいた。  
 
 
 
関心を向けられるのが、本当にイヤなんだなと
透は思った。
 
 
 
「あんたの事情はわかるけど、
 ハシバくんだって困るだろ?」
 
 
 
「それは、わかってる・・・なんとかするから」
 

 
_____________________

 
つづきはこちら
http://www.m2-dream.net/?page_id=8451