だるまちゃんとかみなりちゃん

加古里子さく/え

2005.11.12作成



加古里子(かこさとし)氏の絵本を見たのはこれが初めてだったと思う。
もしかしたら記憶違いかもしれないけど。


この絵本はホントに楽しい。
読み返そうと、実家から持ってきて、雑誌の後ろに隠しておいたのだが、
息子が目ざとく見つけて、「よんでくだしゃーい」と持って来た。
彼は一体何に惹かれたんだろう?


空から落雷とともに落ちてきた、ちいさな かみなりちゃん。
「えん えん あん あん」 泣いているのをだるまちゃんが慰める。
かみなりちゃんと一緒に落ちてきて、木の枝にひっかかってしまった
「へんな まるいもの」をとって欲しいと頼まれた だるまちゃんは、
ジャンプしたり、自分の傘を投げたりして取ってあげようとする。


結局だるまちゃんの傘も「へんな まるいもの」に引っかかってしまい、
二人で困って悲しくなっているところへ、「おおきな かみなりどん」が、
ハンドルとアンテナのついた雲に乗って迎えに来る。
かみなりちゃんの話を聞いたかみなりどんは、お礼にだるまちゃんを
雲に乗せ、「かみなりこうえんのぷーる」に連れて行く。


このプールの絵がとても楽しい。
耳の丸い猫の顔と言えなくもないけれど、全てのものが、まん丸のお顔に
2本の角のはえたかみなりちゃんの形をしているのだ。
プールも、プールサイドのパラソルも、シャワーの水が出てくる部分も、
噴水も、建物のドアもみんな「かみなりちゃん型」
かみなりちゃんと一緒に落ちてきた「へんな まるいもの」は浮き輪で、
これも2本の丸い角がついた形になっている。
かみなりちゃんはプールへ続く滑り台を滑りおりて、プールに
飛び込んだところ、底が抜けて落ちてしまったのだった。
穴の開いたプールを直している工事のおじさんも角のついたヘルメットを
かぶっている。
(角の収納スペースがあるヘルメットというべきか)
プールの底をセロテープみたいなもので治しているのが可笑しい。


これも「かみなりちゃんのカタチ」、「あれもかみなりちゃんのカタチ」と
こまごました絵を眺めるのが大好きだった。


次のページはかみなりちゃんとだるまちゃんが、かみなりどんの運転する雲に
乗ってかみなりちゃんちへいくところ。
この街の絵も「かみなり型」がいっぱい。
ガウディっぽいといえなくもない曲線の建物が整然と建っているが、
やっぱりみんな「かみなり型」。
建物のてっぺんにはかみなり型のアンテナがついている。
信号機も街灯も、デパートらしき建物の入り口も、壁面の大きな時計も、
アドバルーンも「かみなり型」。


それから、かみなりちゃんちでご馳走をいただくのだが、
この絵が一番好きだった。
「かみなり型」の大きなテーブルの上にはたくさんのご馳走。
お皿も食器も調味料の瓶もお酒の瓶もみんな「かみなり型」。
イスの背もたれも帽子掛けも電話台もワゴンも「かみなり型」。
テレビの画面も「かみなり型」。
大画面なのにかなり薄型だということに、今回読み返して気がついた。
未来のテレビを予知していたのかしら。


私が大好きだったこのページの絵、息子もとても気に入った。
もともと食いしん坊だし、食べ物が出てくるお話は大好き。
こまごまと書かれたテーブルの絵に見入っていた。
「これは、ハンバーグだねー」
「これは、串焼きだー」
というと、つまんで食べるマネをして喜んでいた。


最後にかみなりちゃんはおみやげをもらって帰ってくる。
お土産はかみなり型のクッキー?おせんべい?
これもまた、かみなり型の箱に入っている。
だるまちゃんは家族にかみなりちゃんの街の話をしているのだろう、
頭の上に両手の人指し指を立てて、角のマネをして、とても楽しそうだ。
みんなにこにこして、話を聞いている。

お話はここでおしまい。


この、すべてが「かみなり型」というのが、私はものすごく
気に入ってしまったのだった。
加古氏の「こまごました絵」が大スキというのもあったけれど、
「これでもか」というくらい、ぜんぶ「かみなり型」で統一してあるのが、
好きだったのだろう。


私もそうだったけれど、子供というのは、そのコなりの「秩序」
「掟」みたいなものがある。
これはこの順番、これはこう置く、というような。
オトナからみたら理不尽だし、非効率だったりするのだが、当人にとっては
「そうなるべきもの」「そうあらねばならぬ」みたいな、ある種の「美学」
だったりするのだ。


姪を見ていると、彼女にも「秩序」「掟」があるのがよくわかる。
それがオトナによって破られるとものすごく怒る。
だいぶ聞き分けがよくなったけれど、まだ十分に自分の気持ちを
表現できなかった時は癇癪を起こして大変だった。


私は子供の頃、全く几帳面ではなかったし、折り紙の角を合わせて
キレイに折る、ということさえ、なかなかできるようにならなかった。
でも、「きちんと統一されている」のは好きだったようだ。


息子はどういう「掟」を持つんだろう?
自分の世界で完結するのだったらいいなぁ…
日常生活に支障をきたさないのがいいなぁ…
でも、これは親がどうこうできることじゃないもんな…


It’s a funny funny day (CDと絵本)というタイトルの英語版が
1999年に出版されている。
どういうふうに翻訳されているのかな。
確かにFunny dayには違いない…



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