みち
え・ぶん 五味太郎
月間予約・科学絵本「かがくのとも」通巻50号


(2006.04.19作成)



毎週日曜日の朝、父は新聞を持ってこどもたちの布団に遊びに来た。
転がって新聞を読みたかったのかもしれないが、
娘たちは絵本を読んでもらおうと待ち構えていた。



当時、姉と私は自分で本が読める年齢になっていたと思う。
でも、読んでもらうのが面白くて、楽しみにしていた。



この絵本は、とても面白いのだが、文章の量が少ないので、
読んでもらうのは別の本にして欲しかった。
父の方は、読むのがラクなので、この本を読みたがったが。



息子はこの絵本がとても気に入ったようだ。
「ミチ、ヨンデ」と持ってくる。
(前回書いた、「とき」も気に入っている)



「この ごほん どうしたの? かったの?」
「お母さんが小さいときにおばあちゃんが買ってくれたの」
息子は意味がわかっているのかどうか。
<お母さんが小さいとき>を彼はどう捉えているんだろう。


私は
「お母さんの小さいとき、恐竜いた?」
と尋ねて、母を怒らせたらしいが。



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「せまいみち」
男の子が黒い塀の間の細い道を歩いている。
その子の後ろに白い髭をはやし、
帽子をかぶった紳士がいるが、
太っているので通れない。



「ひろいみち」
片側三車線の中央分離帯のある広い道。
遠くにはビルや東京タワー(?)が見える。
先程の紳士は堂々と道をあるき、
男の子は広い道に圧倒されたのか、
口をあんぐり開けて、
塀に寄りかかるようにして立っている。


「いっぽんみち
 わかれみち
 みぎへゆこう」
原っぱのような場所に黄色い道が続いている。
道は分岐して、左は都市部へ、
右は森の中へ続いている。
男の子が元気よく道を歩いていく。


「ふかいもりのなかにもみちがある」
鬱蒼と木が生い茂る森の中。
木々の間の闇には動物の目が光っている。



「あれれ かわだ ふねにのってゆこう」
森は突然終わり、川に出る。
小さな手漕ぎボートが川岸に止まっている。



「あっ かわもみちだ ふねのみちだ 
 はしはかわをまたぐみち」
男の子が川をボートで進んでいくと、
丸木橋が架かっているのを見つける。
橋を渡っているのは、真っ黒い肌の髭面の男性。
父はこの人を「横井さん」だと断言していた。
でも、私は「ヨッコイサン」と記憶していた。
1972年にグアムで、28年間ジャングルを彷徨っていた
横井庄一氏が発見されたが、ちょうどその頃だったのだろう。



「ひこうきのみち
 きしゃのみち」
川の上空を飛行機が飛び、
川と平行して列車が走っている。



「こんなみちもある
 でも
 ひとのとおるみちではない」
水道管なのかな?
山の中から住宅のほうへと
3本並んだ太い配管が続いている。
男の子はこの上を歩いていて、
黄色い安全帽をかぶった、
ランニングシャツの工事のおじさんに
怒られている。



「けむりのみち」
「でんぱのみち」
「はなしのみち」
「でんきのみち」
「みずのみち」
「がすのみち」
「くうきのみち」
「あめのみち」
家の断面図。
男の子がいろいろな「みち」を指差している。
煙突は煙のみち。
屋根の上のアンテナからテレビにつながっている線は
電波のみち。
電話線は話のみち。
天井を通って電灯につながる配線は電気のみち。
水道管はみずのみち。
ガス管はガスのみち。
換気扇は空気のみち。
雨どいは雨のみち。



「いろいろなみちがある」
男の子が街を歩いている。
さっきの家の断面図で、
いろいろな「みち」がわかったから、
街のいたるところに
「みち」があるのがわかる。



「みちはいろいろなものをみせてくれる
 さあみちをあるいてごらん」
巨大な花やら、リボンがかけられた箱やら
富士山の上を歩く「ヨッコイサン」やら
シュールなモノが満載の楽しい絵。
このページでもいろいろな「みち」を発見できる。



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息子はこの絵本を見て、「でんきのみち」に
非常に興味を持った。
高圧線が通っている鉄塔は彼にとっては特別なものらしい。
「でんきのみちーーーっ」
クルマに乗っているとき、電車に乗っているとき、
見つければ絶叫する。


私はかわに興味があった。
父が、自転車の前に妹、後ろに私を乗せて
川辺を散歩することが多かったからかもしれない。



川へいく途中に鶏舎があり、独特の匂いがした。
「酉年じゃない人は鼻をつまんで下さーい」
父がそういって笑ったのを覚えている。
妹が酉年だった。



この絵本も姉も妹もよく覚えていた。
でも、二人とも「ヨッコイサン」の記憶はないようだった。



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