あたまをつかった小さなおばあさん
ホープ・ニューウェル 作 / 松岡 享子 訳  
山脇 百合子 画


最初に読んだのはいつだったか?
実家から持ってきた本の奥付は1974年 第9刷となっている。
親に読んでもらったのではなく、自分で読んだ記憶がある。


おばあさんがアタマを使っていろいろ工夫して考えた、という点ではなく、
おばあさんのこまごました日常に惹きつけられていた。
しんちゅうのボタンのついた赤いネルのちいさな上着を着たがちょうとか、
いろいろな布の入ったはぎれのふくろとか。
すーぷばたけを所有しているというのも羨ましかった。
「ちいさなおばあさんは自力で自分の生活を作っている」と、具体的な言葉では
考えなかったけれど、おばあさんの持っている力とか生活に憧れていた。


山脇百合子さんの挿絵のおばあさんは、今見ると、ちょっとアンパンマンに似ている。
本当にかわいらしいおばあちゃん。
「わたしは、なんてまあ、あたまがいいんだろうねぇ。」
と、自分で自分の頭のよさを絶賛するのも、彼女のチャームポイント。
実際、はねぶとんを買うお金がないから、代わりにがちょうを買ってきて、
はねぶとんを作るとか、
家の中を荒らしまわるねずみをつかまえて飼いならしてしまうとか、
とても楽しい解決方法を考えられるから、非常に賢いひとなんだと思う。



長いエプロン作ろうとして、エプロンにする布の上の方を切り取って、
フリルにしたら、かえって短くなってしまったという失敗もするが、
それでも
「だから、わたしはいつもいうんだよ。あたまさえつかえば、にんげん、
まい日でも、なにかあたらしいことをおぼえるもんだってね。」
と前向きに考える。
おばあさんのこの言葉は「箴言」と言えるだろう。


久しぶりに読み返してみて、実に楽しい本だと思った。
楽しいけれど、おばあさんの生活を通して大事なことを教えてくれる。
困ったことが起こったら、一生懸命考えること。
思いついた方法を実際に試してみること。
うまくいったら、自分を褒めちぎること!!
うまくいかなくても「あたらしいことをおぼえた!」と前向きに考えること。


本の最後に「おばあさんが、あたまをやすめた話」というのがある。
おばあさんはゆりいすをだんろの前に持っていって、足を足おきにのせて
だんろの火を眺めて、あたまをやすめる。
「これからは、どんどん夜がながくなる。だんろのそばにこしかけて、
 かんがえごとをするじかんは、たっぷりあるよ。なにか、たのしいことを
 かんがえよう。だってたのしいことをかんがえれば、あたまがやすまるもの。」
「火のそばにすわって、わたしたちがみんな、どんなにみちたりて、
しあわせかってことをかんがえよう。それは、きっとすいぶんたのしいこと
だろうよ。そして、これも、もとはといえば、みんな、わたしがあたまを
つかったからこそ、できたことさね。」


楽しいことを考えて頭を休める時間を用意するおばあさん。
やっぱりとても賢いひとだと思う。
どんなに満ち足りて、幸せかを考えれば、あたまの中はきっと
優しいエネルギーに満たされて、ますます「冴えたアイディア」を
出すようになると思う。


何十年後かに、この「小さなおばあさん」みたいな、とっても賢くて、
とってもかわいらしいおばあちゃんになりたいなー


お話の本筋とは関係ないけれど、おばあさんにかくだいきょう売った、
ぎょうしょう人は、背が高くて、礼儀正しくて、なかなか素敵♪