ガブリちゃん

 

ガブリちゃん
中川李枝子 中川宗弥
1971/02
 
小学生低学年の時に大好きだった本。
 
久しぶりにこの本に再会して愕然とした。
淡い色の表紙が薄汚れるのは仕方ないとして、本の天、地、小口ともに薄茶色に変色し、
チョコレートのシミのようは斑点がたくさんできていた。
 
真新しかった本がこんなに劣化するほどの時間が流れてしまったんだなぁ…
 
昔の本は酸性紙を使っていたから、劣化が酷いのかもしれないけれど。
私の心もこんなふうに経時変化していたとしたら…
…イヤだなぁ…
  
本の中は綺麗だった。
 
たねこのそらいろのプリーツスカート
サルビアの花
菊の花
クレヨンで描いたような中川宗弥氏(中川李枝子氏の夫君)の挿絵もお気に入りだった。
 
はる、なつ、あき、ふゆと4つのお話があり、ふゆの話が一番好きだった。
 
真っ白なあひるのガブリちゃんが、みかんを食べすぎて黄色くなってしまうのだ。
 
私も小学校1年生の冬にみかんを食べすぎて、肌が黄色くなったことがあるので、
とても他人事には思えなかった。
(数年経っても、寒い日にプールに入ると、手のひら、足の裏はレモン色になった。)
 
ガブリちゃんとたねこが「おかあさん」になりたがる場面がある。
 
ガブリちゃんは、カゼをひいた「ガブリとうさん」と「ガブリかあさん」のおかあさんに
たねこは、カゼをひきかけたガブリちゃんのおかあさんになろうとする。
 
小さい女の子にとって「おかあさん」は憧れだった。
おいしいご飯が作れて、お菓子が作れて、
お洗濯物がピシッと干せて
病気になるとやさしく看病してくれて
エプロンに顔を押し付けて泣くと安心できて…
 
しかし、成長していく中で、絶対的だった
「全能者のおかあさん」は、だんだん普通のヒトになっていく。
 
許せない欠点が見えてきて、悉く反抗したくなる時期が来る。
生活の基盤は親に依存しているのに、
自分一人でできることなんて、ごくごく限られたことしかないのに、もう一人前になった気でいる。
つい数年前まで、ごはん食べさせてもらって、
オムツ替えてもらっていたのに、自分ひとりで大きくなった気でいる。
 
でも、麻疹のようなその時期を過ぎると、絶対に許せないと思っていた部分も
「まったくもー、おかあさんたらサザエさんなんだからー」
と笑い飛ばせるようになる。
 
さらに自分が「おかあさん」になると、親に対する感じ方はまた大きく変化する。
 
こんなにいろいろやってもらってたんだ…
こんなにいろいろやらないと、子どもは生きていけないんだ…
 
それなのに…
それなのに…
(高校生の自分が目の前にいたら「おばさんモード全開」で説教しちゃいそうだ)
 
「おかあさん」って大変だよなぁ。
娘が「おかあさん」になっても、おかあさんはおかあさんのまま。
 
「一人だってすっごく大変なんだから、歳の近いのが3人もいたら戦争だったでしょ?」
私の問いに母は
「ううん。楽しかったよ。面白かったよ~」
と、答えた。
 
余裕でこんなセリフを言えるお母さんになりたいものだ…
 
 
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