砂時計(贈りもの)

 
砂時計
岡野薫子著
1977年4月1刷
偕成社文庫3041
 
岡野氏の本はこの一冊しか持っていない。
30年以上前の本だ。
 
クリーム色の地に緑色の水玉の表紙。
この表紙の偕成社文庫は何冊か持っている。
 
本に印刷されている値段は390円。(現在は税込840円)
小学校高学年で読んだと思う。
 
Amazonで調べてみたら、「岡野 薫子 の検索結果:88件」だった。
「森のネズミ」のシリーズをはじめ、多くの本が出版されているのを、今回初めて知った。
 
他の本もぜひ読んでみたいと思う。
 
岡野氏は1929年、東京に生まれ。
本の奥付によると
「東京農業教育専門学校卒業。
科学雑誌の編集などを経て、
科学映画のシナリオライターとなり
1961年より児童文学の創作を始めた」
 
1964年に書いた『銀色ラッコの涙』で注目されるようになったそうだ。
この本は短編集で、表題を含め14の話が納められている。
年齢ごとにお気に入りの話が変わっていくことも、
この本を何度も何度も読み返している理由かもしれない。
 
初めて読んだときからずっと好きな話もある。
それは「贈りもの」
作者が34歳頃の時の作品。
 
古いアルバムをながめていたら、はらりと膝に落ちてきた、1枚の記念写真から話が始まる。
 
秋の長雨の頃、「贈りものごっこ」という遊びがはやっていた。
仲良しの女の子同士でのプレゼント交換。
 
「私」が贈りものをランドセルにしまっている時、おとなしくて友達のいない八百屋のよし子ちゃんが
仲間に入れて欲しいと頼んでくる。
 
(八百屋のお手伝いをしている時のよし子ちゃんは彼女の弟である赤ちゃんを背負って、
 一人前の店員として立派に接客しているのだが)
 
女の子たちは仲間に入れることにしたものの、
「よし子ちゃんは欲ばりで贈りものが欲しいんだ」と
決め付けてしまい、欲ばりにふさわしいプレゼントをあげることにする。
 
「私」がよし子ちゃんにあげるプレゼントを用意する羽目になるのだが、
プレゼント交換の時に、一番先に選ぶ権利を与えられたよし子ちゃんは、
大きな包み=「欲ばりにふさわしいプレゼント」を選ばなかった。
あわてて、よし子ちゃんに大きな包みを押し付けるのだが、
その間に他の女の子達がプレゼントを取ってしまったため、
「私」はよし子ちゃんが用意した贈りものを受け取ることになる。
 
よし子ちゃんの用意した贈りものは、「私」が思いもよらないものだった。
 
よし子ちゃんの贈りもので遊んでいるといつの間にか姉が後ろにいた。
「あなた、よし子ちゃんに、なにかいいものをあげたの?」
と問われて、「私」ははずかしくなって下をむいてしまう。
「私」は「よし子ちゃんにすまない気持ち」でいっぱいになってしまう。
 
よし子ちゃんに謝ろうと、「私」は日曜日に八百屋に行く。
 
よし子ちゃんの素直さと優しさに救われて、「ごめんね」は言わなくて済むのだが…
 
最後に
「竹沢よし子ちゃんは、いまごろはきっと、やさしい、いいお母さんになっていることでしょう。」
という文章がある。
 
「やさしい、いいお母さん」
私が今、イチバンなりたいもの。
 
今回読み返してみて、よし子ちゃんみたいな女の子なら、絶対に「やさしい、いいお母さん」になっていると確信した。
 
 
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